「最近、いい写真が撮れない。」
写真を撮り続けていると、定期的にこの壁にぶつかります。
SNSを開けば誰かの素晴らしい作品が流れ、友人の撮った一枚に心を揺さぶられる一方で、自分の写真はどこか物足りない。そんな感覚が頭を離れない “停滞期” は、実は自分自身の感性が次のステップへ進もうとしているサインでもあります。
今回は、そんなスランプ時期にいる方へ向けて、また楽しく写真を撮るための思考の整理術をお話しします。
そもそも「いい写真」ってなに?
そもそも「いい写真」とは何を指すのでしょうか。
この言葉はあまりに多義的です。
仕事としての写真と日常の記録では評価軸が異なりますが、今回は私が「いい写真だな」と思う2つのポイントについてご紹介します。
1つは「心を動かされるか」です。これは「目を奪われるような美しさ」といったスケールの大きい感動だけでなく、見た瞬間に温度や手触りを感じたり、「なぜここを切り取ったのか」というささやかな違和感や関心を抱かせたりするような写真は自然と「いいな」と思うことが多いです。

Photo by HANA-STUDIO
もう1つは「意図の明確さ」です。人物の表情を際立たせるのか、あえて「ブレ」で躍動感を出すのか。撮り手の意志が伝わる写真は、見る側に納得感を与えます。
「わかりやすさ」という罠
意図を伝えようとすると、私たちはつい特定の「手法」に頼りがちになります。
F値を下げて背景をぼかす、広角でパースを効かせる、望遠の圧縮効果を狙う。これらは強力な武器ですが、同時に罠でもあります。
手法だけに頼った写真は、自分にとっても周囲にとっても「どこかで見たことがある写真」になりやすく、撮る行為がルーティン化してしまいます。「見た目は整っているけれど、納得がいかない」という停滞感の正体は、自分自身がその「わかりやすさ」に飽きてしまっている状態なのかもしれません。

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まずは「いい写真」という他者評価の軸を捨て、「自分は何が好きか」という内側の感覚に向き合ってみるのをおすすめします。
状況を打開するための3つのアプローチ
それでも手が動かない時は、物理的に環境を変える必要があります。
1つ目は「ジャンルの横断」です。普段スナップを撮るならポートレートに挑戦し、人との対話から生まれるエッセンスを取り入れてみてください。
2つ目は「縛りを設けるです。あえて焦点距離50mmの単焦点レンズ一本だけで撮り歩く、あるいは普段使わない超望遠をレンタルして視界を物理的に変えることで、頭の使い方が変わります。

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3つ目は「別のクリエイティブに触れる」ことです。写真集だけでなく、漫画やイラストの構図から着想を得るのも有効です。例えば、ダイナミックなパースを多用する漫画の表現を写真に落とし込めないか考える。こうした他ジャンルからの刺激は、流行に左右されない独自の視点を作り上げる種になります。
写真は、必ずしも完成された ”作品” である必要はない
最後にお伝えしたいことがあります。それは「写真は、必ずしも完成された "作品" である必要はない」ということです。
「いい写真が撮れない」と悩むのは、それだけ真剣に被写体と向き合っている証拠ですが、あまり難しく考えすぎないでください。
実のところ、私にとって写真は、その時の空気や感情へ遡るためのきっかけであることが最重要だったりします。10年後、20年後に見返したとき、そこに価値を感じるのは「技術の高さ」ではなく「その時、何を大切に思っていたか」という記録の側面です。

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家族や友人の何気ない表情、自分がふと「いいな」と感じた瞬間をそのまま残す。案外それだけで、写真は十分に”いい写真”になり得るのですから。

