cizucuが世界各地で開催しているフォトポスターの展示会〈photo poster project(ppp)〉。その活動の広がりを支えているのが、各地で共に場を育んできたギャラリーの存在です。
本企画では、そんなパートナーでもあるギャラリーに焦点を当て、それぞれの場所に宿る想いや、その場を支える人々の声に迫ります。
今回は、シンガポール・Bras Basah–Bugis芸術地区の中心にある「Selegie Arts Centre」内に位置する、〈Prinsep Gallery〉。写真展やワークショップ、トークイベントなどを通じて、地域のアートコミュニティを支える公共ギャラリーです。日頃からお世話になっているスタッフのMicheleさんに、場づくりへの想いや ppp へ抱くイメージを伺いました。

Prinsep Gallery
シンガポール・Bras Basah–Bugis芸術地区の中心にある「Selegie Arts Centre」内に位置する、Photographic Society of Singapore (PSS)が運営する公共アートスペース。写真展をはじめ、インスタレーションやワークショップ、トークイベントなど、多彩なアートプログラムに対応できる柔軟な展示空間を備え、地域のアートコミュニティを支える拠点として親しまれている。
Instagram : @pss.sg
このギャラリーについて教えてください!
〈Prinsep Gallery〉は、歴史あるSelegie Arts Centre内にある、The Photographic Society of Singapore (PSS)が運営する公共のアートスペースです。
写真を中心に、さまざまな分野のアート表現を支える場として、展覧会やイベントなどを通じてクリエイターの活動を後押ししています。

©︎ Prinsep Gallery
このギャラリーを運営する中で、特に大切にしていることは?
〈Prinsep Gallery〉が特に大切にしているのは、誰にとっても開かれた場所であること、そしてコミュニティとのつながりです。
〈PSS〉は1950年に、写真への情熱を分かち合いたいと願った5人の写真愛好家によって設立されました。以来、アートは一部の人だけのものではなく、より多くの人に開かれているべきだと考えてきました。その想いは、現在のギャラリー運営にも受け継がれています。

©︎ Prinsep Gallery
特に意識しているのは、若いクリエイターや、これから活動を始める表現者にとっても利用しやすい空間であることです。
美術学生や非営利団体には、大幅に割引された料金で貸しています。それは、キュレーターやギャラリストとのネットワークを持ち、よい展示空間にアクセスできることが、アーティストのキャリアの初期段階において大きな転機になると信じているからです。
このギャラリーがある街や地域の魅力を教えてください!
〈Prinsep Gallery〉は、シンガポールの芸術文化地区の中心にある、歴史的な建物〈Selegie Arts Centre〉内に位置しています。
〈PSS〉が運営する施設の一部であり、Bras Basah–Bugis地区には、シンガポールを代表する芸術機関が多く集まっています。そのため、アーティストや学生、アートを愛する人々が自然と集まる、文化的な活気にあふれた場所です。

©︎ Prinsep Gallery
ギャラリーという場所は、これからどんな存在になっていくと思いますか?
私たちは、これからのギャラリーは単なるアート作品の展示空間ではなく、活発なコミュニティの拠点へと進化していくと考えています。
人々がアートを「見る」だけでなく、その場に参加し、関わる場所になっていくはずです。今日、アーティストと観客の境界はすでに少しずつ曖昧になっており、これから支持されるギャラリーは、対話や協働、共創が生まれる余白を持った場所になると思います。

photo poster project (ppp) の様子
テクノロジーも、今後ますます大きな役割を担うでしょう。例えば作品の背景にある物語を映像や音声で後から知ったりするように、デジタル技術は作品との出会い方を広げていくはずです。
ただし、それが物理的なギャラリーに取って代わるとは考えていません。むしろ、実際にその場に足を運ぶ体験を、より深めるものになると考えています。
他者と同じ空間の中で、作品の前に身を置くことには、他には代替できない価値がありますし、スクリーンを介した体験が増える時代だからこそ、そうした人間的なつながりや物理的・身体的な体験は、ますます重要になっていくと思います。
pppはどんな取り組み・コミュニティだと感じていますか?
pppは、写真に幅広い関心を持つ人々が集まる場だと感じています。参加者の中には、自分の写真をプリント作品として展示したことがない人もいます。そうした展示経験の少ない人々にとって、ppp は自分の作品をカジュアルな形で発表できる、最初の一歩として、とても大きな機会になっていると思います。

photo poster project (ppp) の様子
pppをサポートしてくださっている理由を教えてください!
75年にわたってコミュニティづくりを続けてきた〈Prinsep Gallery〉にとって、アートはより多くの人に開かれたものであるべきだと考えています。
pppは、アートに触れるためのハードルを下げ、新しい人々が自然に参加できるきっかけを生み出すプロジェクトです。多様な声や視点が交わり、コミュニティの中から新たな表現が育まれていく。その理念は、私たちが目指している未来と深く重なっています。
だからこそ、私たちは入口を広く設けているpppを応援しています。

photo poster project (ppp) の様子
〈Prinsep Gallery〉を通じて、どのような人や価値観と出会っていきたいと考えていますか?
私たちは、アートや世界、そして互いに対して好奇心を持つ人々と出会いたいと考えています。経験豊かなコレクターであっても、初めてギャラリーを訪れる方であっても、初めて作品を発表するアーティストであっても構いません。
最も大切なのは、人とつながることに対して開かれた姿勢を持っていることです。

©︎ Prinsep Gallery
私たちは、アートには美しさを楽しむだけでなく、人々の暮らしを記録し、対話を生み、人と人を結びつける力があると信じています。そうした役割を信じて活動するクリエイターやコミュニティに惹かれます。
また、他者の可能性を見出し、次世代のアーティストを育てるためにこの空間を活用しようとするメンターや教育者、団体の存在も、私たちにとってとても大切です。
今後「やってみたいこと」や「実現させたいこと」はありますか?
〈Prinsep Gallery〉が、これから活動を広げていくアーティストにとって、出発点のような場所になっていけたらと考えています。特に、才能がありながらも、まだ発表の場を持つことが難しい若いシンガポールの人々や学生にとって、最初の一歩を踏み出せる場所でありたいです。初めての展覧会や、メンターの伴走を受けながら展示に挑戦できる機会を、より体系的につくっていくことに強い関心があります。
また、ギャラリーの活動を建物の中だけにとどめず、その外へと広げていくことにも関心があります。地域と関わる写真プロジェクトや、近隣コミュニティへのアウトリーチ、学校や社会福祉団体とのパートナーシップなどを通じて、より多くの人とつながっていきたいと考えています。
長期的には、写真と他のジャンルのアート作品が本当の意味で混ざる場として、〈Prinsep Gallery〉のアイデンティティをさらに深めていきたいです。それは、シンガポールのクリエイティブコミュニティの幅広さを映し出すものになるはずです。
このギャラリーを訪れてみたい方や、これから展示に挑戦してみたい方へメッセージをお願いします!
新しい発見を探しているアート好きの方も、自分の作品を発表する場所を探しているクリエイターの方も、〈Prinsep Gallery〉は皆さんを歓迎します。
すでに活動しているアーティストはもちろん、これから表現を始める方、学生、そして好奇心を持って訪れる方々にも開かれた場所です。シンガポールで最も活気ある芸術地区の中心にある、75年の想いが息づく空間で、ぜひ写真とアートを体験してください。

©︎ Prinsep Gallery
訪問の計画や展示に関するお問い合わせは、admin@pss1950.org までご連絡ください!


