写真を愛するクリエイターたちが語る、カメラとそのストーリー。「愛機」という存在には、それぞれの人生観や価値観が映し出されます。今回の連載では、〈レンズ付きフィルム〉を愛用するmiraさんが登場。
デジタルカメラもフィルムカメラも使う中で、なぜ今もレンズ付きフィルムを持ち歩くのか。そこには性能や利便性だけでは語れない、フィルムならではの魅力がありました。
〈レンズ付きフィルム〉
レンズ付きフィルムは、その名の通り「フィルムにレンズとシャッター機構を組み合わせた製品」です。カメラ本体とフィルムが一体化しており、撮影後は現像所へ持ち込みます。現像後はネガフィルムやデータが手元に残り、本体部分は回収・再利用される仕組みです。
代表的な製品である「写ルンです」は、35mmフィルムを内蔵し、プラスチック製の単焦点レンズを採用。軽量でコンパクトなボディと、巻いて押すだけのシンプルな操作性が特徴です。
小さなフィルムカメラとの付き合い
私は小さいカメラも少し大きなカメラも好きです。デジタルも使うし、フィルムも使います。
その中でも不思議と手に取る機会が多いのが〈レンズ付きフィルム〉です。
カメラとしては撮り終えたら手元に残らないのに、なぜか何度も使いたくなる。

Photo by mira
その理由のひとつは、とにかく軽くて小さいことです。ポケットに入るサイズだから、いつもの通勤バッグに入れていても存在を忘れるくらい。
高性能なカメラを持ち出す時とは少し違う感覚で、素敵な時間をすごせる気がします。

Photo by mira
光と影が残してくれるもの
私がフィルム写真を好きな理由は、光と影の描写です。
デジタルで撮った写真ももちろん美しいのですが、フィルムにはどこかあたたかな感触があります。影の中にもやさしい空気が残り、光もただ明るいだけではなく、その場の温度まで写してくれるような気がします。
特に光の差し込む風景を撮る時、その魅力を強く感じます。

Photo by mira
フィルムは景色そのものだけでなく、その瞬間に流れていた時間や空気まで閉じ込めてくれるような気がします。だから私は「記録する」というより、「残す」という感覚でシャッターを切っています。

Photo by mira
写りすぎないから面白い
レンズ付きフィルムの魅力は、気楽さにもあります。
フィルムなのでISOは固定です。細かな設定もできません。私は光の向きだけを気にしながら、その場にある空気や時間を切り取ろうと思ってシャッターを押します。
失敗かなと思う写真があったとしても、設定を追い込んだわけではないので、あまり気になりません。

Photo by mira
むしろ、その曖昧さが面白い。おもちゃのような小さなプラスチックレンズで撮られた写真は、ときどき少し不明瞭で、まるで物語のワンシーンのように写ります。
写りすぎないからこそ、見ている側が想像できる余白が生まれる。少し知らない世界を覗き込んでいるような感覚になることがあって、その独特な距離感が私は好きです。
またシャッターを切りたくなる理由
小さくて軽い。簡単に撮れる。それだけなら、今の時代はスマートフォンでも十分かもしれません。それでも私がレンズ付きフィルムを選ぶのは、そこにアナログならではの面白さがあるからです。
撮ったその場で結果は見えません。現像するまで何が写っているのかわからない。その時間も含めて写真体験になっています。

Photo by mira
撮り終えたらカメラとはお別れになるけれど、その代わりにネガフィルムと、その時の記憶が残る。便利さや正確さだけでは測れない楽しさがあるからこそ、私はまたこの小さなカメラを手にとり、シャッターを切りたくなるのかなと思います。

mira
ありふれた何気ない瞬間にある非日常を撮りたい フィルム/デジタル一眼レフとレンズ付きフィルムユーザー
cizucu:@mira

